偽りの婚約者と金色の誓い ~一億円の婚約の真実~

偽りの婚約者と金色の誓い ~一億円の婚約の真実~

last updateLast Updated : 2025-12-08
By:  佐薙真琴Completed
Language: Japanese
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Synopsis

三人称

泣ける

アーティスト

独立

裏切り

契約結婚

浮気・不倫

 夫の裏切り、会社の破産、そして絶望――。  橋の上で死を選ぼうとした水瀬凛の前に現れたのは、謎の男性・黒澤玲於。彼はヨーロッパの名門ラグジュアリーブランドのアジア代表であり、凛に奇妙な契約を持ちかける。 「一年間、私の偽装婚約者になってください。報酬は一億円です」  契約を受け入れた凛は、セレブ社会の階段を駆け上がり、デザイナーとして才能を開花させる。玲於の支援のもと、彼女は輝きを取り戻していく。  だが、運命の出逢いには、隠された真実があった。

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Chapter 1

プロローグ:橋の上で

 十一月の深夜、隅田川に架かる橋の上で、水瀬凛は欄干に手をかけていた。

 冷たい金属の感触が掌に食い込む。東京の夜景が眼下に広がっているが、その煌めきは彼女にとって何の意味も持たなかった。むしろ、あの光の一つ一つが彼女を嘲笑っているように見えた。

 二十八年間の人生で、凛はこれほど静かな夜を経験したことがなかった。車の音も、人の声も、全てが遠い。まるで世界が彼女を置き去りにして、先に進んでしまったかのようだった。

 ハンドバッグの中には、離婚届と破産通知書。それだけが、彼女の全財産だった。

「……いいのよ、もう」

 誰にともなく呟いた声は、風に溶けて消えた。

 欄干に足をかけようとしたその時、背後から男の声が響いた。

「待ってください」

 振り返ると、闇の中から一人の男が歩いてきた。黒いコートを纏い、整った顔立ちの男。その瞳は、街灯の光を反射して琥珀色に輝いていた。

「誰……?」

「名前はまだ明かしません。でも、あなたを止めるために来ました」

 男は静かに、しかし確信を持って言った。

「あなたには、·······

 その言葉に、凛の体が硬直した。「価値」――夫が最後に言った言葉と同じだ。ただし、意味は正反対だった。

「私に……価値?」

 凛は笑った。乾いた、空虚な笑い。

「私には何もない。お金も、家も、夫も、友人も。全部失ったの。私に価値なんて――」

「あなたの目を見れば分かります」

 男は一歩近づいた。

「その目は、美しいものを見分ける目だ。そして、美しいものを創り出す力を持っている。それは、誰にでもある才能じゃない」

 凛は戸惑った。この男は一体何を言っているのだろう。

「一つ、提案があります」

 男はコートの内ポケットから、一枚の名刺を取り出した。月明かりの下で、エンボス加工された文字が浮かび上がる。

『黒澤玲於 MAISON NOIR Asia Representative』

「私と契約してください。一年間、私のビジネスパートナーとして。報酬は、一億円です」

 凛の心臓が、久しぶりに強く鼓動した。

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